野菜ジュースを健康や美容のために始めようという方が最初に悩むのが「ミキサーとスロージューサーってどう違うの?」というところです。
どちらも家庭で野菜ジュースをつくれるキッチン家電というところが同じですが、野菜果物からジュースをつくる仕組みが異なります。
作り方が違うので出来上がる野菜ジュースの性質も違います。
そこで、ミキサーとスロージューサーの違いを注目したいポイントごとに比較して、分かりやすくまとめました。
野菜果物をジュース状にする仕組みを比較
まずは、ミキサーとスロージューサーで野菜果物をジュース状の液体にする仕組みを比較してみます。
ミキサーが野菜果物をジュースにする仕組み
ミキサーはガラス製の大きな容器の底についている金属製の刃を、高速で回転させることで野菜果物を細かく切り刻みながらかき混ぜ、野菜果物を砕いて液体状のジュースにします。またその際、水や牛乳などを加えなくてはいけません。
スロージューサーが野菜果物からジュースをつくる仕組み
スロージューサーは、刃を用いずゆっくりと低速で回転しながら石臼のように野菜果物を押し潰しながら果汁だけを搾り出してジュースをつくります。
ミキサーとスロージューサーを仕組みで比較すると?
ミキサーは投入した野菜果物の全部を液体状に変えるのに対して、スロージューサーは野菜果物に含まれる繊維質を分離し栄養を含んだ水分だけを搾り出してジュースにします。
名前を比較すると?
そもそもなのですが「ミキサー」と「スロージューサー」の名前を比較してみます。
ミキサーのネーミングの訳は?
ミキサーは実は和製英語で、日本で最初に発売したのはパナソニック(当時、松下電器産業)で、混ぜる(mix)ことから名付けられましたが英語では泡立て器のことを意味するので、海外で使用するときには注意が必要です。「ハンドミキサー」の場合は日本語でも正しく泡立て器として認識されていますよね。
また、家電量販店や通販サイトでは同じ分類になっている「ブレンダー」は、実は正しい英語での名称でミキサーと同じもののことを指しています。日本でもシャープなどはブレンダーの名称で発売しています。
ちなみに、パナソニックのサイトでもミキサーとブレンダーについて、次のように説明されています。
ブレンダーという名前で売られている商品も見かけますが、この2つは基本的に同じ調理器具のことを言います。英語圏では、ミキサーはブレンダーと呼ばれており、日本ではミキサーという名前が先に定着したようです。
引用:Panasonic
スロージューサーのネーミングの訳は?
ジューサーは繊維を取り除きジュースだけを取り出せるキッチン家電のことを指しますが、スクリューの回転が低速なものを特にスロージューサーと呼び、刃を用いずにジュースを搾り出す製品のことを指します。
刃を高速回転させて野菜果物を切削し、繊維質をフィルターでこしてジュースをつくる「高速ジューサー」もありますが、現在ではジューサーと言えばスロージューサーのことを指すのが一般的になりました。
ミキサーとスロージューサーを名前で比較すると?
ミキサーは「混ぜる」ことから、スロージューサーは「低速回転でジュースを搾り出すこと」から名前がつけられていて、どちらも仕組み・機能面から名前がつけられています。
「どちらもジュースをつくるんだから、結局、同じものでしょ?」と思われる方もいらっしゃいますが、出来上がりのジュースを比較すると大きな違いが出てきます。
出来上がりのジュースの飲み心地&食感で比較すると?
ミキサーでつくった野菜ジュースと、スロージューサーでつくった野菜ジュース。出来上がりの違いはどのようなものなのでしょうか。
まずは、飲み心地(食感)で比較してみます。
とろりとした野菜ジュースはミキサーで
ミキサーでつくる野菜ジュースは、とろりとした食感・飲み心地が特長です。
これは、野菜果物の果肉や皮に含まれる繊維質まで、出来上がりの野菜ジュースに含まれることによるものです。
また凍らせた固い野菜果物でも高速回転で粉砕してジュースにできるのがミキサーで、こうして作られる野菜ジュースが、いわゆるスムージーです。
サラッとした野菜ジュースはスロージューサーで
スロージューサーは野菜果物を圧し潰して果汁だけを搾り出し、皮や果肉の繊維質は分離して野菜ジュースをつくります。そのため、サラッとした飲み心地の野菜ジュースが出来上がります。
ミキサーとスロージューサーを飲み心地で比較すると?
いわゆる「ジュース」という言葉でイメージする飲み心地を比較すると、やはりジュースをつくる専門家電であるスロージューサーでつくった野菜ジュースです。
ミキサーでつくる野菜ジュースは加える水や牛乳の量にもよりますが、スムージーなどのドロッとした飲み物として出来上がります。
向いている食材で比較すると?
ミキサーとスロージューサーで使用する食材の内、向いている食材とそうでない食材で比較してみます。
ミキサーに向いている食材って?
ミキサーは刃と強力なパワーの回転で食材を砕いて撹拌していくため、食材の種類が幅広く、納豆や山芋など粘り気のある食材でも使えるキッチン家電です。美味しいものが出来るかどうかを別にすれば、食材の種類は選ばないと考えて良さそうです。
スロージューサーに向いている食材って?
スロージューサーの場合、ゆっくりと圧し潰して搾り出すという特質上、基本的には柔らかい野菜果物に向いています。固い野菜ではおおむね人参が上限と思えば良さそうです。
特に、トウモロコシや大豆などは加熱して柔らかくしてから使用し、柿は種が大きいため使えない食材として取説に記載されている機種もあります。
ミキサーとスロージューサーを向いている食材で比較すると?
使用に向いている食材で比較すると、ほぼなんにでも使えるミキサーと、一部注意の必要なスロージューサーという感じになります。ただ、果物の種の大きさは特に注意した方が良さそうですが、りんご・スイカは種が小さいのでOKなど、基本的にジュースにして美味しい食材は使えると理解して良さそうです。詳しくは使用前に取説で確認してください。
ジュースに含まれる栄養素で比較すると?
自宅で野菜ジュースを飲むようにしようと思われる理由の一番は、健康や美容のためという方が多いのではないでしょうか?野菜不足は体調やお肌の調子に良い影響を与えませんからね。
そこで、一番気になる出来上がりのジュースに含まれる栄養素でミキサーとスロージューサーを比較してみます。
ミキサーは刃の摩擦熱と空気の撹拌で栄養素が壊れる
ミキサーは高速回転する刃で野菜果物を砕いて混ぜ合わせることで野菜ジュースを作ります。その際、食材と刃の間に摩擦熱が生じて熱に弱い栄養素、ビタミンや酵素などが何割か失われます。
また、ビタミンなどの栄養素は空気中の酸素と反応して酸化することでも失われるため、激しく空気と撹拌されるミキサーででは一部の栄養素が壊れてしまいます。繊維質が酸化すると色が悪くなることもあります。
ただ、野菜果物に含まれる栄養素のすべてが破壊されてしまう訳ではありませんので、ミキサーでつくった野菜ジュースが健康美容に無意味ということもありません。
スロージューサーは栄養素の残存量が多い
スロージューサーは低速回転するスクリューで圧し潰していくため、摩擦熱が生じず野菜果物に含まれるビタミンなどの栄養素が丸ごと野菜ジュースに含まれます。
また、搾り出していくため空気と撹拌されることがなく、酸化による栄養素の損失もありません。
空気とかき混ぜられることがないため酸化による変色もなく、泡立ちがないサラッとしていて色鮮やかな野菜ジュースが出来上がります。
ミキサーとスロージューサーを栄養素で比較すると?
ミキサーとスロージューサーで出来上がる野菜ジュースに含まれる栄養素で比較すると、作る過程での摩擦熱や空気との撹拌による酸化での損失がない、スロージューサーの方が豊富に栄養素が含まれています。
健康や美容のために野菜果物の栄養素をしっかりと摂りたいという方には、スロージューサーのほうがおすすめです。
使い勝手で比較すると?
少し視点を変えて、キッチン家電としての使い勝手でミキサーとスロージューサーを比較してみます。
動作音で比較すると?
ミキサーとスロージューサーを動作音で比較してみます。もちろん、ミキサーでもスロージューサーでも機種によっても動作音に差がありますので、一般論としての比較です。
ミキサーの動作音は?
ミキサーは空気を含んだ容器の中で、刃を高速回転させて食材を砕くという構造上、動作音の大きなキッチン家電です。朝早くや夜遅くの使用は近所迷惑になることもあるので注意が必要です。また、小さなお子さんのいるご家庭では特に注意して使用することがおすすめです。
スロージューサーの動作音は?
スロージューサーはゆっくりとした回転で野菜果物を圧し潰していくため、ミキサーと比較すると動作音は小さいのが一般的です。ただ、圧し潰していくため、たとえば人参を折ったときにするような「ポキッ」というような音が連続的にはします。動作音の小ささはスロージューサーの特長のひとつですが、まったく無音というわけではありません。
ただ、ミキサーほどには早朝・深夜でもご近所やお休み中のご家族に気づかいすることなく使用することはできます。
収納で比較すると?
ミキサーとスロージューサーを収納で比較すると、総じてスロージューサーの方が高さがあります。そのため収納という点ではミキサーの方が楽ですが、健康や美容のために野菜ジュースを飲まれるは、毎日飲まれるという方が多いのも特徴です。
収納による出し入れをせずに、キッチンに置きっぱなしにされることが多いのがスロージューサーです。そのため、見せ置きを意識したスタイリッシュなデザインの機種を選ぶという方が多いのもスロージューサーの特長です。
手入れ・組み立てが簡単に!
スロージューサーが広く普及するにしたがって、使いやすさが進化した製品が発売されています。お手入れや組み立てがより簡単な機種も発売されています。
2016年に買った物(ヒューロム)が急に壊れて即本品を注文。手入れと組み立てが簡単になっているのに驚きました!!シルバー色は高級感ありカッコいい。デザインも、いかにもキッチン家電ではなくてカッコいい。少し早すぎるけど、壊れてくれてありがとうって感じです。(出典:楽天)
後片付けで比較
ミキサーとスロージューサーを後片付けで比較すると、洗浄する必要があるパーツが少ないのがミキサーで、パーツが多いのがスロージューサーです。そのため、スロージューサーの方が後片付けは面倒とされますが、普及にともなってスロージューサーも進化しており、パーツの数が少なく形状がシンプルで洗いやすいタイプも発売されています。
また、ミキサーは構造上、洗わなくてはいけないパーツに「刃」が含まれるため注意が必要ですが、スロージューサーは刃を使用していませんので気にせず洗うことができます。
洗いやすい!しっかり搾れて甘くてサラサラ
洗いやすさはスロージューサーを選ぶときに大切なポイント。この面でもスロージューサーは進化を続けています。
長年高速ジューサーを愛用してきました。お手入れが大変な低速ジューサーを諦めておりました。しかし新商品がなんだか洗いやすそうで買ってみました!!かんたんです。ごしごししなくていいです!しっかり絞れて甘くてサラサラです。重たいので毎日片づけるのは諦めましたけどかっこいいので◎(出典:楽天)
ミキサーとスロージューサーは上手に使い分けると便利
仕組み・名前・飲み心地・食材・栄養素・動作音・収納・後片付けの8項目で、ミキサーとスロージューサーを比較してご紹介しました。
ミキサーとスロージューサーにはどの項目をとっても一長一短があります。万能なミキサーと、野菜果物をジュースにするのに特化したスロージューサーですが、比較してご自分の好みやご家庭の生活環境に合った製品を選んでみてください。